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2009年11月 1日 (日)

高樹のぶ子「甘苦上海」 感想

日経新聞、朝刊連載小説高樹のぶ子さんの「甘苦上海」が終了した。

「完結」という感じではない。

というか・・・・・

え?ちょっと!!ええっ??それで、どうなるのよ~~!!!と

話の行方が気になって仕方が無い。

後は読者の想像に委ねるのだろうか・・・・

う~~~~ん。。。。

 

ラストシーン、

チャイムが鳴った気がするのは、やはり願望からの幻聴で

実際は鳴ってないんだと思う。

京は来ないと思う。

 

京には、周敏と生まれてくる子どもと共に、おだやかな日々を過ごしていってほしい・・・

私は、そう願ってしまう。

 

でも・・・・京だって、そんなに簡単に気持ちは切り替えられないだろう。

紅子の香りの香水を周敏にふりかけて、

自分をごまかしながら、生きていくんじゃないか・・・・。

 

元々、紅子だって、自殺した社長婦人に雰囲気が似ていたから愛されたわけで

その時点から既に、京は「自分をごまかす」手法で生きていた。

そんなふうにしか生きていけない、とても弱い人だ。

 

第2の結末。

もしかして・・・

まさかとは思うが、京が全てを周敏に打ち明け、

自分が愛しているのは紅子だ、と(いや、それは別に告白しなくてもいい、隠していてもいい)

周敏の元を離れ、紅子と生きていく道を選んだとしたら・・・?

 

それもアリだと思うのよ。

12歳の年の差があったって、愛し合い、寄り添い生きていくことはできるんじゃないの?

 

でも、確かに

それが二人にとって、良い選択なのかは難しいところだ。

紅子が、これから老いていく自分より、子どもを生み育て、共に人生を歩んでいける若い女性、周敏のほうが彼にふさわしいと考えた、その気持ちはとてもよくわかる。

相手(京)の本当の幸せを願うなら、どんなに辛くとも身を引くべきなのだ。

 

でもなぁ・・・

お互いを求め合っている二人なら、無理に別れることもないだろう、と思ってたんだけど

周敏の妊娠で、話がややこしくなっちゃったわよね。

子どものためにも、やはり周敏を尊重しないわけにはいかないわよねぇ・・・・

・・・・しかし、愛のない(薄い)両親に育てられる子どもも、かわいそうかもしれない。

・・・・・・いや、共に生活していくうちに、京も変わっていき、

家族愛も生まれていくのかもしれないなぁ・・・・・

 

そうして、第三の結末として考えられるのは、

周敏と食事をし、抱き、寺へ帰した後で

京が紅子のホテルを訪れる・・・というパターン。

そういう二股をかけることに罪悪感のかけらも感じないのが京という男のはず。

そして、それが一番適当な二人の関係。

・・・それでいいのかは別として。

 

う~~ん・・・・・

この小説、男性読者には、どう映ったのだろう。

紅子の気持ちの流れとか、理解できたのかなぁ・・・・

若い女性読者にも反感を買いそうな気がする。

 

私は、セレブで仕事をバリバリこなす紅子とは全然違うし、性格も異なるけど

紅子の女性としての気持ちは、理解できた。

 

40過ぎても、50を過ぎても、女でいたい。愛されたい。振り向かれたい。

若い女よりも、魅力があると言われたい。勝ちたい。

 

なんて、身の程知らずな願望!貪欲さ!浅ましさ。

他人に聞かれたら、滑稽に思われるだろう秘めたる野望。

それを赤裸々に描いている。

 

松本も言っていたけれど、彼女はとても正直なんだ。

バカ正直。

そこが魅力。

 

でも、年を取った女ってのは、概して非常に身勝手で、視野が狭い。

狭いことに気付かない厚かましさ、それがオバチャンの嫌な所。

 

そうはなりたくない、ならないように、と私も日々思ってるんだけども・・ね、、、

 

そうして、恋慕の情というのは本当に自分の意思を越えたもので

振り回され、翻弄され、ボロボロにされる。

12歳も年下の男に、いつの間にか本気になって、右往左往してしまう自分。

どうしようもなくて、最後に自分に正直になって、京に会いに行く紅子。

 

それでも、やっぱりズルイのよね・・・・

ズルイ自分を紅子だって自覚している。

でも周敏に対して「いい人」をまるっきり演じているわけではなく、

それも紅子の本当の部分だとわかるのだけど。

 

私は上海へは行ったことはない。

先日、テレビで街の様子を見て、裏通りも映って、小説での描写が思い浮かんだ。

画面からは伝わらない気温や湿度を感じることができた。

上海の街や店、寺院などの現地取材が作品に活きている。

 

経済状況は、ほぼリアルタイムでの進行で小説に描かれる。

昨秋のリーマンショックによる影響も取り込まれている。

日経新聞での連載だものね。

上海現地の日系企業の状況等、情報は編集者を通じても詳細に得ることはできたのかもしれないね。

 

私はこの小説、なかなか面白かったんだけども

面白いと思う層が非常に狭いんじゃないか、と少し心配だ。

紅子の感情の起伏と流れに、みんなついていけたのかなぁ・・・・

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