« 就活って大変だ… 2 | メイン | 彩席ちもと(京料理) 京都・四条 »

2013年3月31日 (日)

「ファミレス」(重松清) 完結

日経新聞夕刊連載の小説「ファミレス」が完結した。

 

連載が始まって間もなくは

「ファミレス」(重松清)小手先料理、作ってみた で以前、日記に書いたように

話の行方が見えず、面白いのかどうなのか…という印象だった。

名前+呼び名で男性三人が登場するので、区別がつけにくい。

また、エリカ先生がとても非常識で厚かましいキャラなのにも閉口した。

 

しかし、時々出てくる料理のレシピは、とっても簡単で実用的。

実際に作ってみて、おいしかった。

 

序盤、ファミレスは、ファミリーがレス…の意味として、

家族の崩壊、分散が描かれた。

 

登場人物達は50才くらい。

私より少しだけ上の世代だ。

元々4人家族だったが、子どもたちは成長し、それぞれ就職や進学で家を出ていってしまった。

残されたのは夫婦二人。

これといった会話もない。

そんな中、夫は本棚の本に挟んである妻の捺印済みの離婚届を見つけてしまうーーー

 

私は離婚まで考えたことはない。

娘たちも家に同居しているのだが、バイトや遊びで出ていることが多く、

ここ最近、土日の夕食も夫婦二人だけで食べることが増えてきている。

 

数年前までなら、休みの日に外出するのも家族そろってが当たり前だったし、

それこそファミレスで外食することもたびたびあった。

 

子どもが20才前後になった今、もはや余程の機会でないと

一緒に出掛けてもくれないし、

家族そろって外食するにもお互いの日程を調整するのが大変…。

 

自然、主人と二人で出かけることが多くなる。

夕食も二人で外食することが増えた。

 

子どもが小さかった時には憧れた。

こんなふうに夫婦二人でゆっくり過ごせることを。

 

しかし…

子どもってのは、いるとうるさいけど、いないと淋しいものだ。

その喪失感をようやく乗り越え、

これからは二人で暮らしていくんだなぁ…と意識し始めた矢先に

この「ファミレス」が始まったものだから、小説の話の行方が気になって

毎日、読み続けた。

 

中盤、

あらら・・・本当に離婚しちゃうのかしら・・・と思ったが、

グ~~~ッと大きく舵を切り、ゆっくりと話は転換していった。

家族の想い出は食卓にある。

これは誰々の好物、

誰々は、これが…といろんなご馳走の鉢を

震災被災者のおばあさんがテーブルにたくさん並べるシーンは

読んでいて、なんだか涙が出てきた。

 

伊丹十三監督の映画「タンポポ」で

死ぬ間際の奥さんに、ご主人が

「飯を作れ!」と言う。

すると、いまわの際だったはずの妻はフラフラと立ち上がり、

台所へ行って無意識のようにチャーハンを作る。作って、こと切れる。

それを泣きながら夫は食べる。

泣いている子どもたちにも「カーチャンが最期に作ったチャーハンだ。お前たちも食べろ!」と言うのだ。

 

まだ、子どもがいなかった20代に初めて見た時、

なんて乱暴な夫だろうとビックリして呆れた。

 

しかし、今ならそのシーンの深みが痛いほどわかる。

死にかけていても、「家族にごはんを作らなければ!」と思えば、私も立ち上がると思う。

ずっと10年20年、家族のために毎日そうしてきたのだから。

 

作り続けてきたご馳走・・・ご馳走と言うのもおおげさな「おかず」は

そのまま、その家族の歴史になるーーー

「ファミレス」を読んで、そうだよなぁ…と思うところは多かった。

 

常識外れのエリカ先生は、常識人である男性三人を混乱させながら

なかなかいい位置に居座り、見事に話の要となってまとめていく。

最後には、ひなたちゃんのファミリーが形となり、絆を感じさせてくれて

すっきりとした読後感が味わえた。

 

先日、最終回を迎えたドラマ「最高の離婚」も

紆余曲折を経て、夫婦お互いの本音を曝け出し合い、

それでも尚、離れがたいことを痛感してーー改めて、一皮むけた夫婦になった。

 

一昔以上前のドラマなら、

互いの自由を選び、女性は独立し、男を捨てるーーという強さが描かれただろう。

でも、自分の自由や言い分ばかりを優先していたら、

「誰も幸せになれない」と、「最高の離婚」では主人公が叫ぶ。

 

1980年頃から言われ始めた「個」の時代は極みまで到達してしまって、

ようやくターニングポイントを迎えたようだ。

「個」では幸せにはなれない。

笑顔になれない。

おいしいご飯を食べて「おいしい顔」になるのは、

一緒に食卓を囲む大切な人がいてこそ。

 

「ファミレス」は、とてもいいテーマで書かれていたと思う。

日経を読む中高年に今、気づくべき大切なことを

そっと教えてくれた気がする。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.blog.eonet.jp/t/trackback/454491/31327841

「ファミレス」(重松清) 完結を参照しているブログ:

コメント

>「個」では幸せにはなれない。

うんうん。そうですよね。
私は映画が好きですが、2000年代に入ってぐらいから、
洋画/邦画を問わず、家族のつながりとか絆の大切さを
描いた作品が増えたような気がします。
あと「老後をいかに過ごすか」も大事なテーマになってきました。

私の親しい友人で、子供が2人いて、
つい数年前の春先に、長女が結婚して家を出て、
同時に次女は就職で家を出て、一気に「夫婦2人だけ」の
暮らしになった例があります。
奥さんは「まだ先のことだと思っていた『老後』が
一気にやってきた気分」と言っていましたが、
なかなかにシリアスな言葉ですよね。

夫婦2人だけで過ごす時間は、子育てをしてきた時間より
ずっと長く続くことになるのでしょう。
ご主人と奥さんが歩調を合わせて、上手に
暮らしていかなくてはいけませんよね。
まぁ、めるさんなら心配ないでしょうけど(^^)

■59さま

>「個」では幸せにはなれない。

こう断じるように書いてしまうのは、少し躊躇したのですが、
この小説のテーマに関わるところなので…。


「ファミレス」には三人の男性が登場します。
そのうちの一人に特に親近感を感じたので、日記の感想はそこに焦点をあてていますが、
もう一人も、奥さんから離婚を申し出られ、こちらは本当に離婚に至ります。
あと一人は、離婚を経て再婚済み。

家族って何だろう、というのがテーマになってます。
その答えとして、「みんなで食べる」「食べておいしい」というのが出てくるんです。


「老後」を考える年に…なりましたよねぇ…
うちの主人だって、あとわずかで定年退職ですよ。
来年はもしかしたら出向かもしれない。
現役引退…なんて言葉を使っちゃうと重くて仕方ないけど
これまですっごくがんばって働いてきたんだもの、そろそろ楽をさせてもらってもいいと思うのよ、ほんとに。

子どもの人生が充実してくると、
親はその巣立ちを受け入れなくちゃいけない…んだけど
さびしいもの。
その寂しさに耐えられるように、
今から何か自分も充実できるものを身につけなきゃな~とも思っています。

コメントを投稿

~ようこそ~

  • あまりつぶやかないですが
    Twitterも一応やってます
    連絡はこちら↓へお願いします
    Twitter: @meru_mia
フォトアルバム

最近のトラックバック

Powered by Six Apart