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2014年5月30日 (金)

潔癖な彼

中学での放課後自習教室にて。

 

終了時刻を過ぎても、「このプリントまでやってしまいたい。」という生徒がいたので

時間延長し、中1の生徒3人と監督役の私で教室に残っていた。

すると、プリントをノートに貼るため余白部分を切ってた女子が

「これ、捨ててきて。」と男子に言い、ゴミを捨てさせた。

それをまた、非常に素直にその男子も従うので

 

「ちょっと~ 自分のゴミは自分で捨てなさいよ~

あんたも言うこと聞いたらアカン。断っていいんやで?」

 

と口を挟んだ。

「そうや、自分で捨て。」

 

同調してくれたのは、もう一人の女の子で、肝心の男子は黙っている。

紙を切ってる女子は、

 

「わかったって~ 捨てるって~」

 

と今度は、紙くずをまるめてゴミ箱へ投げた。

が、紙はゴミ箱手前で落ちてしまった。

 

「あ~あ。」

「へたくそ!」

「もっと紙をちゃんと丸めないと。」

「捨てておいて。」

 

女子が再度命じると、その男子はまたすぐに動いて床に落ちた紙を拾い、ゴミ箱へと捨てる。

 

・・・・これじゃあ、下僕じゃないの~~~~

だめよ、彼女のわがままに付き合い過ぎ!

 

「・・・・汚いのが嫌なんです。」

 

男の子はそう言ってポケットからハンカチを取り出し、丁寧に指をぬぐっている。

 

なるほど。潔癖なんだ。

まぁ、悪いことじゃないけど、行き過ぎるといろいろ大変だわよ。

 

うちの娘たちなんか、今でこそハンカチをちゃんと持って出かけるけど

中学の時なんて結構、忘れてたわよ。

あ、でも、あんたは毎日ハンカチ持ってるから貸せるよね。

 

「えぇっ!?ハンカチを持っていないなんてーーー

ハンカチを共有するなんて絶対イヤや!」

 

え?そんなにイヤ?

もし、恋人とかでも?

 

「イヤ。」

 

あらまぁ・・・

じゃあさ、

「君の風邪を俺に移せ。」とかって言わないの?

 

「わぁ~~!言われたいーー!!それ!」

 

反応したのはプリントの残りをやり続けていた女子。

少女マンガのキスシーンでお決まりのセリフに過剰に反応した。

しかし、男子は頑なに

 

「なんやそれ?なんで移されなアカンねん。絶対イヤや。」

 

ん~~、じゃあ

デートで二人でお店に入ってケーキ食べてて

「あ、それ一口ほしい~」って言われたら、どうするん?あげへんの?

 

「・・・・・・・・・いや。」

 

「えーーーっ!!!!」

 

これには女子二人+私、総動員でブーイング。

ケーキを一口くれないなんて、許せないわよっ!!!

 

「ほんなら、間接キスも無理やん?」

 

紙を切っていた女子が言う。

いわんや、直接キスなど到底無理・・・と言外に含ませて。

 

あー、ちょっと話を手前に引き戻して、中学生らしい感じにせねば、ね。

んじゃ、手をつなぐ・・とかは?それもイヤ?

 

「・・・・・イヤやけど・・・」

 

「それもイヤなんや!?」

 

またもやブーイングが再燃。

 

「・・・20秒間手を洗って雑菌を取ってくれたら、つなげる。」

 

そ、そうなんやーーーー

あんた、そんなロマンスのかけらもない・・・

恋愛ってのは、タイミング勝負なのよ!?

それをあんた・・・

「今から手を繋ぎたいので、そこで20秒間、手を洗ってくれる?消毒液もあるし。」

って恋人を手洗い場に連れて行くんかい!?

 

でも、いつか

「あんなことも言ってたなぁ~」って日がくるかもね。

大学生になっていきなりチャラくなって、女の子ゾロゾロ連れて歩いてたりしてね?

 

軽口を言うと、クスッと男子も笑った。

 

高校生になってさ、「あんた、この前女の子と歩いてたの、見たよーっ!」とか言いたいな!

そういう未来、希望!!

 

更にそう言うと、彼はまだ見えない未来をイメージしている瞳をして微笑んでいた。

 

そんな話をしているうちに時間となり、教室を締め廊下へ出ると

その男子が近寄って来て、私に言った。

 

「でも、入院しているおじいちゃんが目を覚ますなら手を握ってもいいと思う。」

 

前日、祖父の容態急変の連絡を受け彼は授業途中で早退し、病院に駆けつけていたのだ。

なんとか持ちこたえたものの予断を許さず集中治療室に入っているのだった。

  

そうか、それは是非、手を握ってあげるべきよ。

おじいちゃんに意識がなくても、きっと伝わるはず。

中学生の若いエネルギーを分けてあげてほしいわ。

 

病院だと、あんたの方が20秒間しっかり手洗いする必要がありそうだけど。

 

でも、大事な人の手を握れるのなら、彼の潔癖も大丈夫かもね。

廊下を歩いて行く小柄な後姿を眺めつつ、一安心。

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