« モノクローム【大阪・天王寺】 | メイン | 大阪の街に陽が沈む »

2014年10月 3日 (金)

恋のようなもの 3

潤也は大学のサークルの先輩だった。

彼が卒業し就職した年、社会人と学生の時間的な擦れ違いが原因で別れそうになったこともあったが

なんだかんだで、ずっと続いているのは、一緒にいてお互い居心地がいいからだ。

 

昨年の春、潤也に転勤辞令が出た。海外だった。

最低2年は帰って来られないと言う。

 

二十歳から付き合い始めて4年。私は24歳になっていた。

就職して、まだ2年。かなり迷ったが潤也に付いて行くことに決め、仕事を辞めて挙式と渡航の準備をすることになった。

潤也は辞令が出てすぐに現地へ転勤していったが、そのすぐ後にその国で内乱が勃発した。

支社のある町は安全との情報だったが、私を呼び寄せるのは沈静化してからが良いだろうということになった。

結婚式もその騒ぎで予定より半年延期になった。まだ招待状の印刷にも間に合ったし、とにかくイレギュラーな事態に潤也は日々多忙を極めていて、式の話もできない状態だったのだ。

思いがけず、日本で待機になってしまった私は勤め先をさっさと退職してしまったことを悔いた。

こんなことなら、関わっていたプロジェクトも最後まで尽力できたのに、と歯噛みした。

挙式し、籍も入れたが、まだ情勢は落ち着かない、と私の渡航は延期のまま。

無職で実家に居続けるのも苦痛で、派遣の仕事に出ることにしたのだった。

いつ辞めて潤也の下へ行くことになるか予定の立たない私には、半年契約の仕事はちょうどよかった。

 

仕事の内容は、数字の入力作業がほとんどで

必要以上の責任もなく気は楽だが、物足りなさもあった。

元々いた会社では大きなプロジェクトの一員として若手ながらどんどん意見を出していたことを思い出すとやりきれない気持ちになったが、それも日が経つうちに薄まっていき、ひと月も通うと割り切って仕事をできるようになれた。

 

女子社員達は派閥があるようで、それぞれに固まっていて社内には微妙な空気が流れていた。

中でも白野さんという40代後半の女性はボス的な存在で、悪いことに私は彼女に最初から嫌われてしまった。

初日の自己紹介の時、バカ正直に、式は挙げたのだが内乱のせいで夫の下へ行けず、それで待機中であることを説明してしまった。

それは、私にとっては内心不本意な派遣の仕事を始めるにあたっての言い訳のようなものだったが、

独身の白野さんには、気楽な女の嫌味に聞こえてしまったらしい。

言葉の選び方が悪かっただろうか?いや、そもそもそんな事情を話す必要などなかったのだと後悔したが全ては後の祭り。

白野さんに完全に無視され、挨拶をしても「フン」と顎をしゃくられるだけの扱いになってしまった。

ボスの態度に習い、課の周りの社員も私に必要以上に話しかけることはなく、おかげで毎日、集中して入力作業ができ、早く仕上げることができたのだった。

気は楽だが、さすがにつらい。

辞めようかと考えることも度々あった。

関原さんと出会ったのは、そんな時だった。

 

 

************

これまでの話

恋のようなもの 1

恋のようなもの 2

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.blog.eonet.jp/t/trackback/454491/32832765

恋のようなもの 3を参照しているブログ:

コメント

潤也さんはこれからピンチ?
やはり女性は、遠くの彼より近くの友・・・?
どっちを応援すればいいのだろう。

それとも新しい職場で、辞めないでって
応援するのがいいのだろうか。

結果は、だいぶさき^^?

■同士さん

続けて読んで頂いて、ありがとうございます…!!
励みになります。。。
あまり長引かせず、ちゃっちゃと話を進めるつもりですが
書き溜めていないので、興が乗った時にバッ書くので、、、

男性に読んでもらって面白い話になるかが微妙です…
女性の内面の、非常に身勝手な心情の話なので
とにかく読んでもらって伝わるようにせねば、と思っています。
とりあえず完結目指します~~

コメントを投稿

~ようこそ~

  • あまりつぶやかないですが
    Twitterも一応やってます
    連絡はこちら↓へお願いします
    Twitter: @meru_mia
フォトアルバム

最近のトラックバック

Powered by Six Apart